漁の素朴な疑問を漁師の息子にきく

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先日、今後の「いただきますの現場」の取材のために、
新潟の漁師の家で育ち、東京海洋大学の大学院を卒業、築地でも働いてらした、ながさき一生(いっき)さんにお話を伺ってきました。

うかがうほどにまったく知らなかった世界、漁師の世界。

「高く売れそうなものをめがけて」「早いもん勝ち」でする仕事って、
ほかにはめったになさそうですよね。

◎取材・文 山本ペロ


Q:「漁」ってどういう風にするのですか?

うちの実家は、近海の底引き網漁をしています。網を下ろして、底をさらっていく漁の仕方です。地域の漁師の方々が持っている「漁場」というものがあって、そこで「今日、高く売れそうなもの」に目星をつけて、基本的には「早いもん勝ち」で漁をします。

Q:日本の魚って、他の魚と比べると何が違うのですか?

僕は世界を旅するときも気づいたら「世界の漁の風景」を視察してるのですが(笑)圧倒的に違うのは「とった魚を新鮮なまま、日本のすみずみまで運ぶ」技術です。だから、生の魚のおいしさは、本当に日本は素晴らしいと思います。魚というのは、とてもデリケートなものなので、それでも「地元でしか食べられない魚」は存在します。ただ、すべてにおいて一番かというとそうではなくて、加工の技術、例えばスモークサーモンなどの薫製はノルウェーをはじめとする欧州産のものが美味しいと思います。やはり伝統がある分、技術が上なのか日本ではあのスモークの味はなかなか出せてないと感じます。

Q:漁っていうと「自然を守ってない」とか「乱獲してる」とか聞いたことあるけれども、実際はどうなんですか?

魚がいなくなって一番困るのは、漁師なので、漁場を大切にしています。
例えば、まだ成長しきっていない魚を逃がすために目が大きい網をわざと使ったり、頻繁に漁に出ることができる夏には魚が獲れにくい夏用の網を使って獲れすぎないようにしたりということを行っています。実は、資源を守る取り組みは江戸時代以前から記録があるくらい日本では伝統的に行われていることなんですよ。

Q:漁師…興味があるのですが、どうすればなれるのですか?

漁師は、初期投資がすごーくかかり、維持費用も大変な商売です。船が一戸建て1軒くらいの値段で、それを20年くらいごとに買い替えていくことが大前提の商売なので、まずは、漁師を募集している会社や漁協などを探して、いろいろと経験していくことがよいと思います。また「漁場」や港の施設を共同で維持管理しながら、漁をしていくので、地域の方々と本当に密接に付き合っていくことが必要です。その辺の覚悟があれば、大丈夫だと思います。

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Q:タコってツボが好きだから入るのに、タコツボ漁でツボに入ったタコを、どうやって出すのですか?

それは僕も不思議に思ってました(笑)実際にタコ漁に一緒にいったことがあるのですが、目に塩を塗ると「ひーっ」という感じで逃げるので、目に塩を塗って出しています。 うっかりタコの吸盤に吸い付かれた時も、これをお試しください(笑)

Q:最後に…好きな魚ってなんですか?

本当に「わーい!」って喜ぶのは「のどぐろ」っていう、のどが黒い赤い魚です。高級魚なんですけど、本当にこれはおいしいです!

のどぐろの刺身! おいしそー some right reserved photo by jin_jing

お話を伺った人:ながさき一生さん
新潟県糸魚川市筒石の漁師の家で育つ。東京海洋大学院では、魚のブランド化の研究に従事。その他、築地で働いたり、国内外の漁場の視察もすすめている。また、ながさきさんおすすめの魚を、楽しむイベント「さかな会」は、長年続いていて、変わらぬ人気を保っている。

 

企画・編集 いただきます絵本プロジェクト
いただきます絵本プロジェクトは、心のこもった「いただきます」の言葉が広まるように、私たちの“食べる”を支える命・自然の恵み・人々の営みを知り、伝えていくプロジェクトです。2013年、「いただきますの日」普及推進委員会に参加しました。
http://itadakimasu.agasuke.net


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